ある一冊の手作り絵本“そらにかかるはし”


それは一冊の真新しい絵本だった。

厚紙に色紙を貼り付けた貼り絵。

一目でわかる素人が作った物である。

表紙には鮮やかな虹とそれを見上げる者達が描かれていた。

タイトルはこうだ。


“そらにかかるはし”

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“そらにかかるはし”

これはとおいむかしのおはなしです。

おばあちゃんのおばあちゃんのそのまたおばあちゃんがうまれるよりもずっとまえのことでした。

あるところにちいさなくにがありました。

そのくにのおうさまはきれいなものがだいすきでした。

ほしいものはなんでもてにいれたのです。かがやくほうせきもきれいなえもうつくしいせきぞうもです。

こくみんたちはいっぱいいっぱいかなしみました。

だけど、みんなはそのうちきれいなえやかがやくほうせきよりもきれいなものをみつけました。

それはあめのあとにそらにかかるにじでした。

こくみんたちは、あめがふるとみんなえがおになってにじのおはなしをしました。

きょうのにじはどれくらいおおきいだろう。

きょうはゆうがたごろにあめがふるから、きっときれいなにじがかかるだろう。

あるときおうさまがこのはなしをききつけました。

きれいなものはぜんぶじぶんのものだとおもっているおうさまです。

すぐににじをみてはいけないというおふれをくにじゅうにだしました。

こくみんはたくさんたくさんかなしみましたが、みんなにじをみるのをやめることにしました。

だっていのちにはかえられないんですもの。

おうさまはまいにちそらにかかるにじをよろこんでみていました。

みたにじのはなしをだいじんやへいしにじまんげにはなすのです。

だけどあるとききづきました。

だれもがにじのはなしをきいてかなしそうなかおをするのです。

おうさまはそれをみてかなしくなりました。

おうさまはわかりました。

きれいなものはみんなでみるからこそ、きれいにみえるのだと。

おうさまはすぐにおふれをだしました。

きれいなものはみんなのものですと。

そしてこくみんからとりあげたきれいなえやかがやくほうせきをぜんぶこくみんにかえしました。

こくみんたちはいっぱいいっぱいよろこびました。

そしておうさまといっしょにかたりあったのです。

あのときのにじはこうだった。

こういうときのにじはこんなふうにみえる。

そのはなしをきいておうさまはわかりました。

このじかんこそおうさまがほしかったものなのだと。

それいらい、おうさまはこくみんときさくにはなしこくみんのなやみをきいたり、きれいなにじのおはなしをするきかいをまいにちつくりました。

にじはおうさまとこくみんたちのこころをつなげたのです。

いまはなまえものこっていないとおいむかしのちいさなくにのおはなしはこれでおしまい。

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