詩歌藩国の日常“アルティニ皆高のハッピーバレンタインデー”

詩歌藩国にはアルティニ皆高と言う少女が居る。

アイドレス初期のイベントでゲートを探索しにいった時に保護された少女だ。

この時保護したのが須藤 鑑正と(面白がった)藩王の命令により同居中であった。

現在須藤はになし藩へと出撃中であり、バレンタインデー当日にチョコを渡せない。

そんな状況から物語は始まる。

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“貴様だけにいい思いはさせん!”

“嫉妬団参上!”

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「あきまささん早く帰ってこないかな。」

アルティニ皆高が呟いている頃、詩歌藩国内のある暗がりの中。

複数の人影が揺らめいていた。

「ちくしょう。羨まし過ぎるぞ。」

「俺達もチョコほすぃ。」

「アルティニちゃんのチョコ食べたいのぅ。」

彼らの心は一つである。

「チョコおくれ。」

ふと人影の一つがさも名案のように言い出した。

「須藤に届く前にチョコが無くなれば!」

「「そ れ だ !」」

人影は一斉に行動を開始した。

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結果から言えば彼らは結局動かなかった。

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“この想いをあなたに”

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20070215

0:00

仕事場で休憩を取っていた葉崎京夜は唐突に笑い始めた。

びびる上司と同僚。

「やはりこうなったか。この程度の罠では掛かってはもらえんか。」

気味の悪いものでも見るような目で葉崎を見る上司と同僚。失礼な話である。

葉崎の手には詩歌藩国のBBSが表示された携帯が握られていた。

上機嫌で携帯のメモ帳に何かを書き込み始める葉崎。

おいこら仕事中だぞという上司の声に今日の分の書類を投げつけて答える。

ぶっ倒れる上司。

同僚がこれもよろしくとフラッシュメモリを葉崎に渡す。

受け取り、PCに差し込む。

昨日までに作らなければならなかった書類である。

ぶっ倒れる葉崎。

えいくそこの程度で俺はめげんぞと右手でPCのキーボードを叩きながら、左手で携帯のキーを叩き始める。器用だな。

2時間ほど書類と格闘し、これを書き上げる。

再び藩国BBSを見ると須藤の書き込みを確認。

顔をにやりと歪める葉崎。同僚と上司が引いている。

最終的にアルティニチョコ強奪戦への参加PCは0名であった。

須藤の書き込みから誰も参加しない理由に思い当たる。

結局の所、チョコレートを届けられなくて泣く少女の姿など誰も見たくは無かったのだろう。私だってそうだ。

BBSを診ていたであろう全ての人に「おめでとう。君達の勝利だ。」と口に出して言った後、本当のゲームを開始する準備を始めた。どうでも良いが仕事は終わったのか。

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“この想いをあなたに”

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41207002

20:55

アルティニ皆高は出来上がったチョコを片手に台所をぐるぐると回っていた。

今日中にあきまささんに渡したい。

そもそも帰ってから渡せば良いような気もしなくもないが、須藤は戦争に行っているのだ。帰ってくる保証は残念ながら、無い。

それにそんな場所に行っては迷惑ではないかとも思う。

この国に連れてきて貰ってこの方、迷惑ばかり掛けてきた。

涙目になるアルティニ。

遠く飛行場の方で、輸送機のエンジン音がだんだん大きくなっていくのが聞こえる。

怖い考えがどんどん湧き上がってきてアルティニは声をあげて泣いた。

ふと何かが耳に届く。

最初は小さく、じょじょに大きく聞こえ始める声。

“……走りなさい。想いを届けたければ走りなさい。”

何処かで聞いたことのある声にアルティニは涙を止める。

“それで良い。泣けば全てがうまくいくわけではない。涙を拭いなさい。”

涙を拭う。

“よし。次は前を見ろ。”

顔を上げ前を見る。

視線の先には、通信端末と須藤の写真。

“後は、出来るね?”

やさしく響く声。

通信端末が自動で起ちあがり、輸送機との通信回線を繋ぐ。

「あきまささんに渡すものがあるんです!!」

10秒後5分だけ待ちますという返事を聞いて少女は家を飛び出した。

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41207002

20:55

葉崎京夜はになし藩へ出撃している部隊に補給物資を送り届ける為の輸送機に乗り込もうとしていた。

「物資に洩れはありませんね?」と事務官に声を掛ける。

無いという返事に満足し、出発の通信を各機に送ろうとした所で一般回線から声が飛び込んできた。

「あきまささんに渡すものがあるんです!!」

10秒ほど固まった後に5分だけ待ちますと声を返す。

5分だけ待機してくださいとパイロットに声をかけ、先ほどの声の主であるアルティニ皆高の到着を待つ。

かくてM*より始まるゲームの目的は記述された。


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家を飛び出し走り出したアルティニに声をかける男が居た。

どこにでも居るような目立たない男ではあるが掛けた眼鏡の片方にひびが入ってるのが特徴と言えば特徴だろうか。

「急ぎだろう?乗って。」

そう言って、乗っていた自転車の荷台を叩く男。

その言葉にアルティニはありがとうと言い自転車の後ろに飛び乗った。

一分後、男が限界を迎えた時ふとペダルが軽くなる。

アルティニが荷台から飛び降りたのだ。

ありがとうございますと言って、タクシーを捜しながらポケットの中をがま口探すアルティニ。

・・・ない。どこかに落としたのだ。

泣きそうなアルティニに声をかけたのはモコモコに着膨れした人物だった。

「これ、使ってください。」

そう言って渡されたのはその人物の財布であった。2.650わんわん入っていた。

ありがとうございますといって地面と水平になるまで頭を下げたアルティニのポニーテールがぴょこんとゆれる。

そして、その前にタクシーが滑り込む。中からは靴下を耳に押し当てた中年の男がこのタクシーを使いたまえと降りてきた。

男の格好におびえるアルティニ。だが、言葉を聞いてありがとうございますと頭を下げた。

アルティニが乗り込むと同時にタクシーは滑るように走り出す。

街中を走り抜けるタクシーの前に赤色回転灯をつけたパトカーが走る。

次々と交差点を封鎖し、タクシーの先導を始めるパトカー。

おそらくどこかの誰かが手を貸してくれているのだろう。

タクシー無線から目的地を変更するように通信が入る。

輸送機がエンジントラブルで滑走路から外れた場所で待機しているとのことだった。

そして5分きっかりに輸送機の前に到着するタクシー。

アルティニを収容し動き出す輸送機。

まだ開いているハッチから身を乗り出し、詩歌の町に向かって叫ぶ。

「ありがとうございました!」

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さて、物語はここでおしまいだ。

え?

彼女は須藤に会えたのかって?

決まっているさ。

物語の終わりはいつだってハッピーエンドさ。

~FIN~

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